大人になってから勉強する人はなにか目的があって行うことが多いでしょう。
たとえば収入を上げるために資格をとったり、会社で昇進するために勉強をしたりです。
あるいは海外を旅行したり住んだりするために語学や文化について勉強することもあるでしょう。
このように大人は目的があって勉強することが多いです。
勉強の基本はなにかから読み取ることが基本となります。たとえば教科書やテキストなどです。
本から内容を読み取ることで知識をインプットし、勉強した内容を試験や実生活で活かすことができます。
しかし目的はあっても勉強のやる気がでなくて、なかなか手につかなかったり挫折したりする方も多いのではないでしょうか?
私もそうでした。なかなか勉強が手につかず、なにごとも中途半端になってしまうことが多かったです。
私は薬剤師なので常に勉強しなくてはいけない立場です。
日進月歩の医療を学び続けることは薬剤師として必要なことです。
薬学はもちろんのこと、医学や看護学を学ばなくてならないことだってあります。
しかし新たな分野を勉強することは時にしんどさを伴います。
しんどさが伴い続けると途中で投げ出したくなり、ついには挫折してしまいます。
私は特に自分が興味ない分野を勉強することを苦痛に感じます。
たとえば仕事で看護について勉強しなくてはいけないと頭では理解しているのですが、全然勉強が手に付かないことがあります。
そして勉強が中途半端になり知識がつかない、あるいは知識がついてもあいまいとなってしまうのです。
勉強で挫折を繰り返してしまった私はこれではいけないと思い、勉強の方法を変えてみようと考えました。
そしてめぐりあった本がこれです。
『知性だけが武器である-「読む」から始める大人の勉強術』という本です。
この本の著者である白取春彦氏は哲学的な本を多数出版しています。
過去の偉人たちが書いた本をわかりやすく紹介したり哲学書の知識をもとに書いた現代でも有用な本を多数執筆しております。
なので今回紹介する本は過去の偉人たちの知識を結集した本と言えるわけです。
さっそく見ていきましょう。
探求することであなたの勉強は苦痛から開放される
あなたは勉強するときになにを目的にしますか?
自分の社会的地位でしょうか?それとも収入でしょうか?あるいは誰かから言われて仕方なく勉強するのでしょうか?
いろんな理由がありますが、最終的には自分のために勉強することが継続の秘訣です。
社会的地位の向上、収入アップ、誰かの命令。このような理由で行う勉強は遅かれ早かれ挫折します。
なぜならば自分が主体になっていないからです。
受け身になって勉強しているため、なかなか続かないのです。
受け身の勉強とは本心とは関係なく行うことになるため、苦痛を伴うことになります。
これは学校の勉強にも言えることで、日本の教育はほとんど天下り的にどの教科も勉強させられます。
言い換えると教師から教えられるがままに教科書の内容を覚えなければいけないということです。
そして特定の教科だけを勉強することはできません。
たとえば英語が好きだから英語だけ勉強するということはできませんよね。
なので英語以外の授業は苦痛になります。
したがって学生の頃は勉強に対してネガティブのイメージをもちやすくなります。
一方、大人はどうでしょうか?
大人はいつでも自分の学びたいことを勉強できるはずです。
だれもあなたを縛り付けて特定の科目を勉強しろなんて言いません。
大人は自由に勉強ができるのです。
ではいざ勉強を始めると、なぜ苦痛を感じるのでしょうか?
その答えはニヒリズムにあります。
ニヒリズムとは日本語では虚無主義と訳されています。
一言で言うとこの世には絶対的に価値があるものはないということです。
なんだかとてもネガティブなイメージですね。
そもそも現代の絶対的な価値とはなんでしょうか?
答えを言いますとそれはお金です。
お金があることは何よりも大事だとされます。
お金があれば明日を生きる食料はもちろん、税金やローンだって払えます。
お金があれば生活することができるので、何よりも重視されやすいのです。
なのでお金は現代でもっとも価値のあるものとされています。
ではお金になることとはなんでしょうか?
労働ですよね。働くことでお金が生み出せます。
社長であれ部長であれ一般従業員であれ働くことでお金を生み出すことができます。
労働をしないとお金を生み出せないのです。
しかし、自分の労働がお金を生み出せないとなるとどうでしょうか?
いくら自分が働いてもお金が稼げなくなると人はたちまち自分の労働に価値を感じなくなります。
そして絶望感が押し寄せてきて労働をやめてしまうのです。
これがニヒリズムです。
つまりお金にならないことはすべてが無駄であるということです。
これは普段行う勉強にも言えることです。
自分の勉強がお金にならないと気づくと、たちまち無駄と感じてしまい勉強する気が失せてしまうのです。
そして勉強が中途半端になり挫折してしまうのです。
これが勉強のニヒリズムです。
お金が自分の勉強したことの価値評価になってしまっているのです。
もちろん自分が勉強したことがお金になることは嬉しいことです。
収入が上がれば承認欲求が満たされ、生活も精神的にも満足度が上がります。
しかし勉強していてもお金にならない期間が長くなってくると、苦痛を感じてしまいついには勉強が挫折してしまいます。
なのでお金を目的にして勉強することは危険です。
これは学生の勉強にも言えることではないでしょうか?
多くの学生の勉強は試験に受かること、あるいは良い企業に就職することが最大の目的とされています。
したがって試験に落ちたり良い企業に就職できないと自分の勉強が無駄ということになります。
そして大きな挫折感や喪失感が伴います。
このように自分の勉強をお金や社会的地位を目的にしてしまうと挫折しやすくなります。
ではどうすれば勉強を続けることができるようになるでしょうか?
答えは自分の行っている勉強に自分自身が価値を見出すことです。
自分の勉強を自分の外にあるなにかに求めるのではなく、自分自身のために行うのです。
自分のために勉強することであなたの勉強は宝探しをするような楽しい冒険に変化するのです。
たとえば海外での仕事のためにあなたは英語を勉強することになりました。
あなたは学生の頃、英語は苦手でいつも赤点ギリギリでなんとか試験をクリアしていた過去があるとします。
ここで学生のころと同じように勉強するならば、あなたは必ず挫折するでしょう。
勉強が苦痛だと思うからです。
なので勉強のやり方を変えます。自分のふとした疑問に対して答えていくようにするのです。
たとえばspiritという英単語を覚えようしたとしましょう。訳すと「精神」という意味ですね。
ふつうは書いてり暗証したりして覚えるところですが視点を変えます。
語源を調べてみるのです。するとspiritとは神様が泥人形に息吹を吹き込んで人間を創造したとされます。
そのような理由からspiritは精神という意味になりました。
さらにinspireはin-「〜の中に」、spi-「息」となり神様の息を中に入れるということになり、「奮い立たせる」という意味になります。
(出典:語源とマンガで英単語が面白いほど覚えられる本)
このような感じで英単語一つにしても調査してみると多くのことが分かります。
しかも自然と記憶できますしさらに知識と知識がつながって多くのことを覚えることができ効率がよくなるのです。
これが探究型の勉強になります。
学校の勉強は天下り的にテキストの内容を一方的に勉強させられるのに対して、大人の勉強は自らが主体となって勉強をすすめていくことになります。
言うなれば学生の勉強が受動的であるのに対して大人の勉強は能動的であると言えます。
それはまさに世界を自由に冒険するのと同じことです。
本を読んで勉強することで異国のことはもちろん、古代から現代のことまで知ることができるのですから。
世界文学はあなたが本当に勉強したいことを明るみにする
あなたは今なにを求めているでしょうか?
求めていることによって勉強する内容が変わってくるかもしれません。
勉強したくないことを勉強しても続かず挫折します。
なぜならば本当に勉強したいこと以外は何らかの外的な理由が存在するからです。
外的な理由とはさきほど説明したお金、社会的地位、試験にクリアすること、良い企業に就職することなどです。
たしかに外的な理由がゆえに勉強しなくてはならないこともあるのが大人です。
しかし自分の人生を歩む上で自分が求めたこと以外ばかり勉強していては人生がとても寂しいものになってしまうのではないでしょうか?
それは他人の言いなりになることと同じではないでしょうか?
だからあなたは自分が求めることを勉強しなくてはいけません。
人生は有限です。しかも明日生き残れるという保証はどこにもないのです。
なのであなたは自分の本当に求めていることを勉強しなくてはいけません。
そのためのは自分自身を知る必要があります。
本当に自分はどのような傾向でどのような分野の事柄を好むのかを知らなくてはいけません。
『知性だけが武器である-「読む」から始める大人の勉強術』にはその旨がヘッセの言葉として引用されています。
世界文学に対する読者の生き生きとして関係にとって重要なのは、とりわけ読者が自分自身を知ること、それとともにまた、自分にとくに感銘を与える作品をしるということであって、何らかの基準あるいは共用の計画などに従わないということである。…(中略)…ある傑作が非常に有名であり、それをまだ知らないのは恥ずかしいからというだけで、それを無理に読むのは、大変な間違いである。そうするかわりに、誰でも各自の性質にふさわしい作品でまず読むこと、知ること、愛することをはじめなくてはならない。
知性だけが武器である-「読む」から始める大人の勉強術p139より引用
つまり世界文学を読むことで自分自身を知ることができるということです。
これはなぜかというと、世界文学というのは普遍的な人間が描かれているためです。
言葉では説明することができない人間の深層心理について書かれているのです。
世界文学を読むことで人間の深層心理に触れることができ、自分はいったい何者なのかというのが少しずつ明らかになってくるのです。
したがってまず勉強する内容が分からない方は、世界文学を読む必要があります。
あるいは今勉強していることがしっくりと来ない方も読むべきは世界文学なのかもしれません。
こうして世界文学を通して自分が本当に勉強したいことがわかったならば、もうそこからは簡単です。
明らかになった自分だけの勉強をしていけばいいのです。
深い集中は格段に勉強する時間を増やしてくれる
勉強するにしても時間がなくては意味がありません。
現代人は忙しいです。仕事はもちろん家事や育児も同時にこなさないといけない人も多いでしょう。
忙しい合間にも勉強する時間をなんとか確保したいところです。
ふと1日24時間以上に増えないかと思いをふけらせることもあるでしょう。
しかし当然ながら時間を伸ばすことなんて不可能です。
ではどうするかというと時間は自分の外にあると思わないことが解決方法のヒントとなります。
つまり時間はこの自分の内にあり、かつコントロールできるのだと自覚することです。
時間は自分とは無関係に流れていくことではなく自分の中にあることをまずは知ることが大事です。
そして自分の内に時間はあることは誰しもが経験しているにも関わらず、このことに気づかない人はじつに多いのです。
たとえば私は釣りが大好きです。
毎日釣りに行きたいほど好きです。
釣りをしている時は釣りのことしか考えていません。
魚を釣るために集中しているからです。
そして気づくともう帰る時間になっている。釣りを始めてから終えるまであっという間ですが、充実した時間を過ごしているのです。
このことは勉強にも言えないでしょうか?
勉強のことだけ集中して行えば時間などすぐに忘れ去られます。
集中が深ければ深いほど時間など忘れてしまい、勉強が充実するのです。
つまり目の前のことにいかに集中できるかがポイントとなります。
集中の度合いが濃いほど時間など無関係になります。
そしてたった5~10分でも深い集中を得られればあなたの勉強は充実したものになるのです。
このことを著者の白取春彦氏は強調しています。
本当は時間が少ないのではない。自分が集中して事柄にあたっていないだけなのだ。心が乱れて散漫だから、眼前の一事をなしとげられないのだ。あるいはまた、小さな事柄についてそのつど自分の感情をいたずらに動かし、乱れた感情をなんとか鎮めることに時間を消費してしまっている。
知性だけが武器である-「読む」から始める大人の勉強術p154より引用
この言葉のとおり現代人は時間がないと嘆く方が多いでですが、本当は集中できていない自分に満足感を得られていない気がします。
深い集中を得ることでたとえどんなに時間がなくても勉強はすることができるのです。
そして多くのことを成し遂げることができるのです。
まとめ
『知性だけが武器である-「読む」から始める大人の勉強術』を紹介しました。
じつはこの記事だけでは紹介しきれない多くのことが本には書いてあります。
そこには手にとって読んだ各人のためになることがきっと書いてあります。
ビジネス書というよりは哲学的な本です。
現代的なビジネス書とは書いてあることにギャップを感じることがあるかもしれません。
それでもこの本からは多くのことを学ぶことができるでしょう。
なぜならばこの本には白取氏の知恵だけではなく過去の偉人たちの知恵も含まれているのですから。
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